今回はマインドちっくな話です。
失点の割に自責点が少ない投手がいたら、皆さんはどう思いますか?「まぁ粘って頑張ってるんじゃない?」と思うでしょうか?
私の考え方は少し違います。
私は「自責なき失点は投手の恥」だと考えています。
どういうことでしょう?
例えば、私がリーグ戦で現役最後に先発したマウンドでは、5回を投げて被安打1、失点1、自責点0でした。
数字だけですが、この結果を見てどう思いますか?
「ぼちぼち頑張ったんじゃない?」と思ってくれた方、どうもありがとう(笑)
しかしながら、私は今でも、この結果を情けなく感じています。
この試合、初回の先頭打者が、内野のエラーで出塁しました。そのあと得点圏に進塁されましたが、なんとか2死までこぎつけました。そして迎えた4番打者に、ライト前にポテンと落とされ失点してしまいました。被安打1とは言っても、一番打たれてはいけないところで打たれた1安打です。そして、この1点が決勝点になり、チームは負けました。もしこの試合を勝てていれば、九大は十数年ぶりにリーグ戦5勝目を挙げることができたのに、です。
この事実に目を背け、「自分は自責点0だし、まぁ頑張ったか」という気持ちには、まるでなれません。
チームがエラーした時こそ、絶対に無失点に抑えなければならない。
投げている以上、失点の責任は全て投手が負う。
自責のつかない失点は、チームのエラーをカバーできなかった投手の恥である。
私はそう思っています。
ただし、もしエラーで出塁したランナーが更なるエラーで生還したり、2死3塁で内野ゴロをエラーされて失点したら、恐らく私も怒ると思います。(笑)
ですがそういう場合でも、例えば、四球で守りのリズムが崩れた、投球の間が悪い、など投手側でも改善すべき点があるはずです。
私も最後の試合では(最後の試合でも?)四球を出しまくったので、野手はかなり守りにくかっただろうと反省しています。
普段の生活でここまで責任を背負いすぎるのは、メンタル的に危険な思考なのでやめたほうがいいですが、マウンド上では、このくらい極端な思考でも問題ないでしょう。
少し脱線しますが、10年ほど前のことなのでうろ覚えの話です。
TV番組の企画で「一般人を集めてトレーニングさせて150キロ出す」のような企画がありました。
そのなかの1人がMAX147キロを計測したため、プロのある球団が本格的な獲得調査に乗り出す話にまで進展し、テストとしてシート打撃で登板する、ということになりました。
そしてテストが始まり、確か野手のミスが絡んで失点したのですが、なんとかイニングを終えてマウンドから降りる際、その投手はこんなひとことを口にしました。
「今のって自責になりませんよね?」
このひとことを聞いて、私は「こいつはプロにはなれないだろうなぁ」と思いました。
結局、球団はこの投手を獲得しませんでした。
球団側が主催したテストとはいえ、わざわざ自分1人のために集まり、守ってくれた野手です。彼らに対するリスペクトの気持ちが少しでもあったならば、自責どうのこうのといった発言には至らなかったはずです。
少しでもマインドが違っていたら、登板の結果は仮に同じであっても、もしかしたら球団の評価は違ったかもしれません。
「そんな七面倒なことを考えずに、他人のせいにできるところは潔く他人のせいにして、開き直って投げんかい」
という考え方もあると思います。
それで結果が出るならば、それでもいいと思います。
ですが、百歩譲って、駆け出しの若手投手ならそれでいいかもしれませんが、仮にエースと呼ばれる投手がそのようなマインドであったら、私は少し悲しいです。
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