41言目:出番は自らつくるもの

おかげさまで、R3年度秋季リーグ戦が閉幕しました。詳細は試合のページよりご覧ください。

さて、今回のリーグ戦では、最終シーズンを迎えた4年生達が活躍してくれました。今回はそのなかでも、画像の2人をピックアップしてみたいと思います。

千脇拓馬(左)と若宮風吹(右)の2人は、今シーズン、外野の中心選手として活躍しました。

ただ、この2人は入部当初から外野手だったわけではありません。

千脇はサードとして入部しました。

若宮は元々ユーティリティープレーヤーでしたが、入部当初のメインは投手でした。

投手時代の若宮。リーグ戦でも登板しました。

ですが、2人とも自らの実力やチーム状況等を考慮し、更なる出場機会を得るべく外野手へ転向しました。

その結果、今季はチームに必要な存在として活躍してくれました。

なかでも2人の活躍が印象深いのは今春のPayPayドームでの久留米戦です。その様子は試合のページにまとめられておりますのでこちらからどうぞ。若宮は先制の2ランホームランをレフトスタンドに放り込み、千脇はビハインドの9回裏という重圧のかかる場面で、同点劇を演出する送りバントを見事決めました。

2人には失礼かもしれませんが、もし外野手に転向していなければ、これほど試合に出場し活躍していなかっただろうと思います。外野手に転向したからこその活躍だと思います。

2人に限らず、コンバートにより自らの出場機会を飛躍的に増やした選手は数多くいます。

例えば、木下怜(R3年卒業)は、入学当初はショートでした。1年次もショートでリーグ戦に出場してはいましたが、2年次からセンターに転向した結果、九六屈指の外野手として他大学から恐れられるほどの存在感を放ち、ベストナインや敢闘賞を受賞しました。けれど、もし木下がずっとショートを続けていたら、もしかすると控えに甘んじていたかもしれません。

現役最終戦ではサヨナラ満塁本塁打を放ち、自らの引退に華を添えた

また、築城大知(R2年卒業)は、入学当初は主に内野手でしたが、偶然捕手が不足したというチーム状況もあり、2年次に捕手へとコンバートされた結果、スタメンマスクを勝ち取り、かつリーグ戦で2回のベストナインを受賞するなど、実績を残しました。

今の4年生投手たちも、築城のリードで大きく成長した

元メジャーリーガーのイチローさんも、高校時代は投手でしたが、外野手に転向したことは有名です。

勿論、誰でも彼でもコンバートせよということが言いたいのではありません。また、「絶対にこのポジションで結果を出すんだ」という強い意志があるのであれば、それはそれで素晴らしいと思います。

ここで私が言いたいのは、「コンバートしてでも(されてでも)試合に出たい」という彼等のハングリーさは尊敬に値する、ということです。(シンプルに、試合に出られないより出られたほうが楽しいに決まってますし、ね。)

逆に、せっかくのチャンスが来ても「自分には今のポジションしか考えられないんで~」といった、特に理由のない頑固なこだわりを崩せなかったりする選手は、非常に勿体無いと感じます。

例え話ですが、リーグ戦期間中に急な怪我人が出たり、スタメンが絶不調になったりして、その空きポジションに本職ではない控え選手が急遽抜擢されることは往々にしてあります。首脳陣側からすると場当たり的采配かもしれませんが、選手にとっては棚ぼた的チャンスです。仮にその試合で活躍できないにしても、リーグ戦期間中にまた同じチャンスが舞い込んでくる可能性も高いはずです。

にもかかわらず、いったん試合が終わってしまえば、その控え選手は平然と本職のポジションで練習する。。。

よく見かける場面ではないでしょうか。(苦笑)

 

「今のチームのなかで、自分には何が求められているのか」

 

これを正確に理解できている選手が多いチームは間違いなく強いです。

かつ、上に挙げた選手たちは、そこからもう一段思考を飛躍させ、数少ないチャンスをただ待つのではなく、コンバートという形で自分自身側を変革させることで、チャンスに積極的に対応していく姿勢を身に付けています。

この姿勢は社会に出てからも非常に重要です。

高校生・大学生の皆さんも「社会は非常に流動的である」という言葉を聞いたことがあると思いますが、あまり実感はなかったかもしれません。ただ、このコロナ禍により、社会が大きな変革を強いられていることは充分理解されていると思います。こんな状況で「コロナ前は良かったのに」と嘆くだけでは、社会からはどんどん取り残されていくばかりです。

上に挙げた選手たちは、これから社会が更に大きく変わっていったとしても、柔軟に対応し、チャンスを掴みながら生きていけるものと私は確信しています。

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