28言目:自ら問いをたてる

緊急事態宣言による自粛期間が続いております。こんな時なので、脳みそが鈍らないよう数年ぶりに高校数学を解いてみましたが、正直なところ、想像していたよりもすごく簡単に感じました。

(高校の時は一番苦手な科目だったのに、、、)

そう思えるようになったのは、社会人になり、連日のように、答えのない問題と格闘してきたから、答えがある高校数学は簡単に感じた。のかもしれません。

(余談ですが、私は仕事柄、数理学を専攻している学生さんの博士論文をいくつか拝見しましたが、とても高校までの数学とは思えない難解なものでした。本学の数理学研究院の先生方に話を聞くと、大学からの数学は全く質が違うそうで、高校数学のイメージで数学科に入学すると、大学でつまづく恐れがあるから注意が必要というご意見が多かったです。)

以前よりここに書いてきたとおり、高校までの勉強は、皆さんの選択肢を増やすためにとても重要です。(参考:16言目「勉強する意義」2言目「高校と大学」

皆さんが毎日磨いている「正解を導く能力」も間違いなく重要な能力です。

ただ、大学や社会人になるにつれて、更に必要な能力が出てきます。

それが、「自ら問いをたてる能力」です。

以前ここで紹介したアインシュタインも、次のような言葉を残しているそうです。

もし自分が人生において重大な問題に直面して、それを解決するために1時間だけ与えられたとしたら、そのうち55分は適切な問いを探すのに費やすだろう。

アインシュタインに限らず、多くの偉人達が、自ら問いをたてることの重要さを説いています。

スティーブ・ジョブズも、毎日このような問いをたてていたそうです。

If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?(もし今日が人生最後の日だとしたら、私が今やろうとしていることは本当に自分のやりたいことだろうか?)

自ら問いをたてることは、目標設定と似ていますが、人生を生きるうえで重要な、もっと大きな概念だと私は捉えています。

例えば、

「もし今、お金も時間も無限にあり、何でもすることが許されるのならば、自分は何がしたいのか?」

「食事をするのも忘れるくらい熱中できることは何だろうか?」

などは、色々なところで目にする問いの例です。(今の皆さんにとっては、これらの問いの答えは野球かもしれませんね。)

ただ、私の経験上、おすすめしない問いもあります。

例えば、「自分が生きる意味はなんだろうか?」という問い。

自分なりの答えが出せれば良いのでしょうが、漠然としすぎてすごく難しい。答えが見つからないと「自分には生きる意味は無いのか?」と不安になり、人によってはメンタルに支障をきたします。私も危険な目にあったので、あまりおすすめしません。

自ら問いをたてるのは難しいです。アインシュタインが「1時間のうち55分を費やす」と比喩したことも納得できます。

ただ、質の良い問いをたてることができれば、質の良い人生を導いてくれるでしょう。

時間のある今だからこそ、ゆっくり考えても良いかもしれません。

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