九州大学硬式野球部では、後援会のご支援により2019(令和元)年よりラプソードを導入することができました。ラプソード導入により、投手練習の効果が飛躍的に向上し、球速140キロを超える投手が5名(2021(令和3)年度現在)うち1名は九大史上初の独立リーガーとして新たなステージで野球を続けております。 後援会及びOBの皆様の温かいご支援に心より感謝申し上げます。 ラプソード(Rapsodo)とは? ラプソード(Rapsodo)とは、野球用のピッチングのデータを測定・分析することができるトラッキングシステムである。このシステムでは、球速などの基本的なものから、ボールの回転数・回転軸・変化量などの詳細なものまで、幅広いデータを取得・蓄積することが可能である。また、リリース時の高さや横幅、角度も測定していくことができる。タブレット端末と連動し、動画を撮影しながらデータを蓄積することが可能なので、ラプソードにより計測された投球データとフォームを連動させて分析することができる。 タブレット端末のアプリにより管理することができる 個人ごとにログインすることができ、自分の投球が一覧データとなって蓄積される 投球の数値化について 投球を評価するにあたり、球速を除けば「キレ」や「ノビ」といった主観的かつ感覚的な評価に左右されることが多い。投手が、自分がどういう球を投げているかを知るには、捕手・打者・指導者等、第三者の感覚的な意見に頼らざるを得ない。しかしながら、第三者が必ずしも投手の投球を正しく理解し正確なフィードバックができるとは限らないため、場合によっては投手が間違った自己理解をし、向上するどころか間違った方向へ向かって練習することもある。そこでラプソードを使用し、投球を回転数・軸の傾き・軌道などに分けて解析すれば「A投手よりB投手の方が良い球を投げる」といった漠然とした評価ではなく、少なくとも機械による公平かつ数値データとして評価することが可能になる。 数値の活用について 数値の活用については、野球界全体を見てもまだ発展途上だというのが正直なところではないか。「数値を測っても、それをどう修正すればいいのか、どう練習に活かせばいいのか難しい」という意見もある。そもそも、回転数が多ければ良いのか、回転軸が傾いていなければ良いのか、というのもはっきりとはしていない。 しかし、この数年でラプソードはプロだけでなくアマチュア、個人レベルでの導入が飛躍的に進み、数値活用の成功例が蓄積されつつある。お股ニキ氏著『ピッチングデザイン』や林卓史(元慶應義塾大学硬式野球部助監督)氏著『スピンレート革命』といった著書も出版されており、今後多くのチームが実践し、更なる方法論の確立も期待される。逆を言えばまだ発展途上だからこそ、九州大学も他チームの成功例の追従に甘んじることなく、新たな成功例を確立することも夢ではない。 使用例 ブルペン ブルペンで1球ごとのデータを取得し、分析・改善策を講じながら取り組む オープン戦 伊都グラウンドでオープン戦が開催される場合、相手チーム及び審判の承諾を得てラプソードを使用する。試合での投球データも蓄積することができ、ブルペンと試合でのデータの違い等を分析することができる 改善例(A投手の場合) ラプソード導入直後(令和元年) 133.4キロ 2110回転 ラプソードによる取り組み後(令和3年) 141.3キロ 2519回転 A投手は最終的に144キロまで球速を伸ばすことができ、エースとして活躍 A投手の声 回転軸の傾きには気を遣いました。傾きが完全に垂直の綺麗なバックスピンがかかる方がいい球だと思っていましたが、(あくまで自分の投球として)実はちょっとだけ傾いた方が打たれにくい球になることが分かりました。このような取り組みを続けた結果、回転軸の傾きは比較的思うように投げ分けられるようになりました。後援会はじめOBの皆様のご支援に心から感謝しております。 もどる